未経験でも、これまでの経験は活かせる。世間ではそう言われます。僕も営業職で働きながら、前職の4年で何か活かせるものはないかと考えました。結論、なかったんです。持ち越せたのは礼儀くらい。それでも2ヶ月で、結果は変わりました。変わったのは経験じゃなくて、たった1つのことです。
前職4年で持ち越せたのは、礼儀くらいだった
働き始めてから、何度か考えました。4年もやってきたんだから、何かしら使えるものが残っているはずだ、と。
結論から言うと、礼儀とか、当たり前のことくらいでした。
これ、誰でも持っているものですよね。営業のスキルとして持ち越せたものは、1つもありません。
前職はバックオフィスの仕事で、やりとりする相手は最初から決まっていました。もう関係ができあがっている人たち。だから僕がやっていたのは、営業というより、続いている関係を保つための時間だったんです。食事に行くこともありました。何が自分に合わなかったのかは、こちらの記事に書いています。
今は、初めて会う方に、その場で向き合います。相手も、話す内容も、やることも、全部違う。
じゃあ何も知らずに入ったのか? そこは違います。営業の基本は、入る前に動画で見て頭に入れていました。まず話を聞いて、提案して、決めてもらう。流れは分かっていたんです。
でも、知っているだけでした。分かることと、できることは別です。
ただ、1つだけ持ち込めたものがありました。仕事で身につけたものじゃありません。
働き始める前、離職していた期間に、スマホで自分を撮り続けていた時期があります。自分の話し方を客観的に見るためです。25日くらい続きました。
そのとき自分の話すスピードを何度も見ていたからか、今は無意識に緩急がつけられます。ここはゆっくり、ここは早く。言いたいことに少し詰まっても、焦らない。
前職では、よく焦っていました。意識してやってきたわけじゃないけど、分かりやすく伝えようという気持ちが、そのまま丁寧さになっていたのかもしれません。
活きたのは、職歴じゃなかったんです。
2ヶ月で変わったのは、言い方だけだった
同じものを説明しても、決まるときと決まらないときがあります。中身は変えていないのに、です。
決まらないときは、だいたい言い方が同じでした。「どうですか?」と聞いて、相手に判断を委ねる。押さずに、そっと置く。これをやると十中八九、同じ結果になります。
逆に決まるときは、数字で伝えています。「ここに来られる方の8割から9割は、これを使っています」。この一言があるかないかで、返ってくる反応が変わるんです。
ただ、全員に数字が効くわけではありません。根拠を大事にする方もいます。その場合は、なぜそれがいいのかを説明して、納得してもらう。相手によって、渡すものを変える必要があります。
共通しているのは、言葉を濁さないこと。間を空けないこと。言い切ること。それだけです。
決まらなかったのは、中身じゃない。最後の一言だったんです。
この前、接客したお客様の連れの方から「わかりやすくてよかった」と言われました。自分では気づいていなかったけど、見ている人は見ているんですよね。
そしてこれ、知識でも経験でもありません。だから未経験の2ヶ月でも身につきました。
言い切れる範囲は、調べた分だけ広がる
言い切るのが大事だと書きましたが、これ、危ない面もあります。
制度をちゃんと確認しないまま「それはありません」と言い切って、後から自分の間違いだと分かったことがあります。自信を持って言い切った結果が、間違いだった。一番やってはいけないやつです。
大きな間違いは、これくらいです。
それ以降、気になったことは、その日のうちに先輩に聞くか、自分で調べるようになりました。時間があるときは、ほぼ毎日やっています。
つまり、言い切るというのは勢いの話じゃないんです。調べた範囲の中でしか、言い切ってはいけない。逆に言えば、調べた分だけ言い切れる範囲が広がります。
未経験に足りないのは知識です。でもそれは、毎日1つずつ埋められます。
一番きつかったのは、仕事の中身じゃなかった
ここは正直に書きます。2ヶ月で一番きついのは、覚えることでも、断られることでもありませんでした。
疲れ方です。
家に帰って、ご飯を食べると、すぐ眠くなる。12時間くらい寝ている日もあります。
しかも、何に疲れているのか自分でも分かっていません…。接客なのか、社内なのか。たぶん両方だし、どっちが重いのかも説明できない。
ただ1つ言えるのは、自分が思っている以上に気を張っているということです。人と向き合う仕事を未経験から始めるなら、体力よりこの疲れ方を見ておいた方がいい。
緊張してないと思っていたのに、緊張していた
入社前、周りからは「新しい職場って緊張するよね」と何度も言われました。でも僕には、それが全くなかったんです。気を張ってもいませんでした。
ところが働き始めてしばらく、楽しいという感情が降りてこない時期がありました。「無」で動いている感覚。自分は何も感じずに立っているだけなんじゃないか、と焦りました。
それが変わったのは、あるお客様に「緊張してるね」と言われたときです。
無だったんじゃない。見られて緊張していただけでした。
自分の状態って、外から言われて初めて分かることがあるんですよね。緊張しないタイプだと思っている人ほど、気づくのが遅れるのかもしれません。
まとめ:初心者だからできない、は通用しない
2ヶ月やって、はっきりしたことがあります。
お客様にとって、僕が初心者かどうかは関係ありません。困りごとがあって、求めがあって、来ている。それだけです。だから「初心者だからできない」「入ったばかりだから分からない」は、ありえない。
できることは、応えられる準備をしておくことだけです。
- 前職4年で持ち越せたのは礼儀くらい。営業のスキルはゼロスタートだった
- それでも結果が変わった。理由は言い方だけ。濁さず、間を空けず、言い切る
- 一番きついのは仕事の中身じゃなく、疲れ方。自分が思う以上に気を張っている
未経験の求人を見ながら「自分の経験が通用するのか」で止まっているなら、探す場所が違うかもしれません。通用するかどうかは、持っているものじゃなくて、その場で言い切れるかどうかで決まります。
試すのは簡単です。次に誰かに何かをすすめるとき、語尾を「どうですか?」で終わらせずに、最後まで言い切ってみてください。それだけで反応が変わります。
ゼロから始めるのは、思っていたより怖くなかったですよ。
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